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封大夫が播仙を破った凱旋の歌二首・其の一

2019.02.15

漢将承恩西破戎

捷書先奏未央宮

天子預開麟閣待

祇今誰数貳師功

 

七一五年生まれの岑参(しんじん)の「封大夫(ほうたいふ)が播仙(はせん)を破った凱旋の歌二首・其の一」。封大夫は大夫の封常清(ほうじょうせい)。大夫は地方の行政や軍政を司る節度使の官。播仙は蛮族の吐蕃(とばん)。

 

■読みと解釈

漢将承恩西破戎

漢将(かんしょう)は恩を承(う)け西のかた戎(えびす)を破り

[漢の将軍の李広利(りこうり)は天子の恩愛を受け西方の蛮族を破り]

 

捷書先奏未央宮

捷書(しょうしょ)は先ず未央宮(びおうきゅう)に奏せり

[戦勝報告書は真っ先に未央宮に上奏される]

 

天子預開麟閣待

天子は預(あらかじ)め麟閣(りんかく)を開きて待つも

[天子は事前に麒麟閣(きりんかく)を開き戦功を待っているが]

 

祇今誰数貳師功

祇今(ただいま)は誰か貳師(じし)の功を数(かぞ)えん

[ただいま現在は蕃族の貳師城を征服した李広利の戦功を数える者は誰もいない]

 

 

■注目点

凱旋の歌い方に注目。

本詩は封常清が蕃族の播仙を破り、勝利を祝う歌だが、作者岑参は直接祝うのではなく、蕃族の貳師城を破った漢の李広利を持ち出す。李広利は戦功を挙げた将軍だが、今や振り向きもされない。封常清もゆくゆくは李広利のようになるのではと案ずる。祝うのは束の間。勝利を祝うには、喜びよりも寂しさ。

 

《PN・帰鳥》