山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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寒食

2017.06.30

春城無処不飛花

寒食東風御柳斜

日暮漢宮伝蝋燭

軽煙散入五侯家

 

唐の韓翃(かんこう、生没年不詳)の「寒食(かんしょく)」。

 

■読みと解釈

春城無処不飛花

春城(しゅんじょう)には処として花を飛ばさざるは無く

[春の長安には至る所に花びらが飛び散っており]

 

寒食東風御柳斜

寒食の東風(とうふう)に御柳(ぎょりゅう)は斜めなり

[寒食の時節の春風に宮中の柳は斜めに揺れている]

 

日暮漢宮伝蝋燭

日暮に漢宮(かんきゅう)より蝋燭(ろうそく)を伝うれば

[日暮れに漢の宮殿から蝋燭が授けられると]

 

軽煙散入五侯家

軽煙(けいえん)は散じて五侯(ごこう)の家に入れり

[軽やかな煙は散らばり五人の諸侯の家に流れこんだ]

 

 

■注目点

言いたいことに注目。寒食は冬至から百五日目の時節。前後三日間は火の使用を禁止し、寒(つめ)たい物を食べるので寒食と言う。

火の使用を禁止する寒食の日の首都長安。

多種多様な花びらが、長安の街中に乱れ飛び、春の風が宮中の柳を斜めに揺らしている。長安のこの景は華やかではない。寂しい。

寒食が終わる日の日暮れになると、宮中にいる天子のひと言で、火の使用許可が出る。蝋燭に火が灯されるが、その煙は細々。細々とした煙の行く先は、何と何と富豪の五侯宅。貧乏な庶民宅ではない。三日間も火のない暮らしを強いられている庶民。何たる政治か。

 

《PN・帰鳥》