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寒威

2011.01.21

寒威半夜裂陶泓
獣炭炉中怒有声
判得明朝雪華至
遠山隠隠作雷鳴

 

一七七二年生まれの佐藤一斎(さとういっさい)の「寒威(かんい)」。意味は激しい寒気。

 

■読みと解釈
寒威半夜裂陶泓
寒威は半夜に陶泓(とうおう)を裂き
[激しい寒気は夜半に硯の水をひき裂き]

 

獣炭炉中怒有声
獣炭(じゅうたん)は炉中(ろちゅう)に怒りて声有り
[炭団(たどん)は火鉢の中で怒って声をあげている]

 

判得明朝雪華至
判じ得たり明朝雪華(せっか)の至るを
[判然とした 明日の朝には雪がやって来ることが]

 

遠山隠隠作雷鳴
遠山(えんざん)は隠隠(いんいん)として雷鳴を作(な)す
[遠くの山ではゴロゴロ雷が鳴っている]

 

 

■注目点
詩題の「寒威」を具体的にどう詠むか。ここに注目。
具体の一つは硯の水。陶泓は陶器製の硯。泓は水を溜める所。その硯の水が寒威で凍って、ひび割れをする。これは書斎の描写。
具体の二つは火鉢の中の炭団。獣炭は獣の骨を焼いて炭としたもの、獣の形に作った炭団。説が二つある。その炭団が寒威に負けじと、まっ赤になって怒りの声をあげている。これは居間の描写。
具体の三つは雪華。雪を華にたとえ、雪華と言う。その雪華が明朝やって来る。これは外の描写。
雪華が明朝やって来ると判然としたのは、遠くで雷がゴロゴロ鳴っているから。雷は雪が降る前兆のようです。

 

《PN・帰鳥》