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富士山

2014.07.18

仙客来遊雲外巓

神竜棲老洞中淵

雪如紈素煙如柄

白扇倒懸東海天

 

一五八三年生まれの石川丈山(じょうざん)の「富士山」。

 

■読みと解釈

仙客来遊雲外巓

仙客(せんかく)は来たり遊ぶ 雲外の巓(いただき)に

[仙人が雲より上の天辺に来て遊んでいる]

 

神竜棲老洞中淵

竜神は棲(す)み老ゆ 洞中(どうちゅう)の淵に

[天神の竜が洞穴の中に棲み老いている]

 

雪如紈素煙如柄

雲は紈素(がんそ)の如(ごと)く煙は柄(え)の如し

[雲は白い絹のようであり煙は柄のようだ]

 

白扇倒懸東海天

白扇(はくせん)は倒(さかし)まに懸(かか)る東海の天に

[白い扇が東海の空に逆さに懸かっているようだ]

 

 

■注目点

富士山を詠む着眼点に注目。

富士山の所在は雲より上の天辺であり、洞穴の中の淵。天辺には不老長生の仙人が遊び、洞穴の中には得体の知れぬ天神の竜が長年棲みついている。

富士山を詠むこの着眼点。世俗とは無縁な近寄り難い二つとない不二山。

富士山には雪や煙がある。富士山の雪は譬えると白い絹。煙は柄。絹は蚕の繭で作った美しい糸。柄は「え」と読むと器具の取っ手。「がら」と読むと布地の模様。

美しい雪と煙の懸る富士山は、白い扇が逆さに東海の空に懸っている。富士山を詠むこの着眼点に注目。

誰もが知る富士山。富士山をどう詠むか。詩人の腕の見せ所です。

 

《PN・帰鳥》