山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

宮中の怨み

2016.05.27

柳色参差掩画楼
暁鴬啼送満宮愁
年年花落無人見
空逐春泉出御溝

 

唐の司馬扎(しばさつ、生没年不詳)の「宮中の怨み」。

 

■読みと解釈
柳色参差掩画楼
柳の色は参差(しんし)として画楼(がろう)を掩(おお)い
[柳の色は不揃いで美しく彩った高殿を掩い隠し]

 

暁鴬啼送満宮愁
暁の鴬は啼(な)きて満宮(まんきゅう)の愁いを送る
[明け方の鴬の鳴き声は宮全体の愁いを外へ送り出す]

 

年年花落無人見
年年花は落つるも人の見ること無く
[毎年毎年宮中の花は咲いては落ちるが見る人とてなく]

 

空逐春泉出御溝
空(むな)しく春の泉を逐(お)いて御溝(ぎょこう)より出ず
[ひっそりと春の泉を追いかけ御堀から外へ出て行く]

 

■注目点
宮中の怨みとはどんな怨み。ここに注目。
天子の寵愛に授かろうと、一度宮中に入った女。宮女は俗世間に帰ることは許されない。宮門には監視役が見張り、一歩たりとも門外に出られない。死ぬまで宮中暮らし。まさに牢獄暮らし。死んでもわが家に帰れず、共同墓地に葬られる。

悶々と日々を送る宮女。俗世間へ出たい。見ると御堀の泉に流れる散った花。花は俗世間へ出て行く。草木の葉に文字を書き泉に流す。不自由な宮中と自由な俗世間をつなぐ。それは御堀の泉しかなかったのです。
天子の寵愛を失った宮女の怨みです。

 

《PN・帰鳥》