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宮の詞

2015.01.16

宮門長閉舞衣間

略識君王鬢便斑

卻羨落花春不管

御溝流得到人間

 

九二五年死亡した李建勲(りけんくん)の「宮の詞」。宮中の詩。

 

■読みと解釈

宮門長閉舞衣間

宮門は長く閉じて舞衣(ぶい)は間(ひま)なれば

[宮中の門は長く閉じて舞いの衣装はひまなので]

 

略識君王鬢便斑

略(ほ)ぼ識る 君王は鬢(びん)は便(すなわ)ち斑なるを

[天子の髪には白髪が混じっているのではと思われる]

 

卻羨落花春不管

卻(かえ)って羨(うらや)むらくは落花は春管(かん)せずして

[逆に妬ましく思うのは散り行く花は春が拘束せず]

 

御溝流得到人間

御溝(ぎょこう)に流れ得て人間(じんかん)に到るを

[御堀に流れて俗世間に出ることができるのを]

 

 

■注目点

どんな宮中を詠むのかに注目。

舞いの衣装を着るのは宮女。衣装を見るのは天子。宮殿は長く閉じたまま。宮女は心配する。天子の身の上を。

黒髪に白髪が混じっているのでは。老いを心配する。老いた天子。天子の寵愛を受けることはもうない。宮女はわが身を案じる。

宮中に咲く花を見ると、御堀に落ちている。落ちた花は水に乗り、俗世間に出て行く。羨ましく思う。一旦宮中に入った宮女は、出ることはできぬ。老い死んでも出ることはできぬ。花になって俗世間に出たい。叶わぬ思いです。

 

《PN・帰鳥》