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宮の詞

2014.05.30

宮門長閉舞衣間

略識君主鬢便斑

卻羨落花春不管

御溝流得到人間

 

唐代の李建勲(りけんくん)の「宮の詞(うた)」。宮中に侍る女の歌。

 

■読みと解釈

宮門長閉舞衣間

宮門は長く閉じ舞衣は間(ひま)なれば

[宮中の門は長く閉じ舞いの衣装は暇なので]

 

略識君主鬢便斑

略(ほ)ぼ識る君主は鬢(びん)は便(すなわ)ち斑なるを

[天子の鬢は白髪混じりなのがほぼ分かる]

 

卻羨落花春不管

卻(かえ)って羨む落花は春管(かん)せずして

[逆にねたましく思う散りゆく花は春に拘束されず]

 

御溝流得到人間

御溝は流れ得て人間(じんかん)に到るを

[御堀に流れることができ俗世間に行き着くのを]

 

 

■注目点

宮中に侍る女の心境に注目。

後宮三千人。天子に侍る女が三千人。天子の後ろの御殿にいた。女たちは天子の寵愛を待っている。

寵愛されない女たち。天子の前で舞うこともなく、舞衣は埃をかぶり眠ったまま。

天子の前に長く出たことのない女。自分も老けてゆくが、天子も老けて白髪。互いに老けるばかり。

女たちは思う。拘束されず、散りゆく花は宮中内の溝に落ち、そのまま宮中の外の、俗世間に流れ出る。

自分はどうか。いったん宮中に入った限り、女たちは俗世間には出られないのです。

散りゆく花にもなれぬ天子に侍る女たち。その心境はいかばかり。

 

《PN・帰鳥》