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宇文六を送る

2014.03.14

花映垂楊漢水清

微風林裏一枝軽

即今江北還如此

愁殺江南離別情

 

七〇八年生まれの常建(じょうけん)の「宇文六(うぶんろく)を送る」。宇文六は不詳。

 

■読みと解釈

花映垂楊漢水清

花は垂楊(すいよう)に映じて漢水は清く

[花は枝垂れ柳に照り映え漢水は清く澄み]

 

微風林裏一枝軽

微風は林の裏(うち)にし一枝は軽し

[微かな風は林の中に吹き抜けひと枝が軽く揺れ動いている]

 

即今江北還如此

即今(そっこん)の江北は還(かなら)ず此(か)くの如(ごと)し

[現在の江北の景は必ずこのようである]

 

愁殺江南離別情

愁殺(しゅうさつ)す江南の離別の情を

[江南で君との離別の情に思い悩むのだ]

 

 

■注目点

どんな離別の情なのかに注目。

この詩の場所は漢水、江北、江南の三つ。漢水と江北は長江の北側。江南は長江の南側。

宇文六の行く先は江北。常建と宇文六は江南で別れた後、常建は江南に止まり、宇文六は江北へ行く。

とすると、この詩は常建が江南で作ったことになり、初め二句は江北の景で、常建が想像した景ということになり、三句目で種明かしをしたことになる。

江北の景は題材と言い、色彩と言い、春満開の穏やかな景。この景は二人が今いる江南の景でもあろう。ここにこめられた離別の情は、どこにいようと眺める景は同じ。それだけに二人の情は一つ。不変の情です。

 

《PN・帰鳥》