山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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子夜呉歌

2014.10.10

長安一片月

万戸擣衣声

秋風吹不尽

総是玉関情

何日平胡虜

良人罷遠征

 

七〇一年生まれの李白「子夜(しや)呉歌(ごか)」。子夜は女の名。呉(長江下流域)の地方の歌。

 

■読みと解釈

長安一片月

長安一片の月

[長安の空に月がかかる夜]

 

万戸擣衣声

万戸(ばんこ)衣を擣(う)つの声

[どの家からも布を打つ音がする]

 

秋風吹不尽

秋風は吹いて尽きず

[秋の風が吹き止まず]

 

総是玉関情

総(すべ)て是(こ)れ玉関(ぎょくかん)の情

[これみな玉門関の情である]

 

何日平胡虜

何(いず)れの日か胡虜(こりょ)を平らげ

[何時になれば異民族を平らげ]

 

良人罷遠征

良人(りょうじん)は遠征を罷(や)めん

[わが夫は戦地から帰って来るのか]

 

 

■注目点

夫を思う子夜の心情に注目。

李白は長安で留守居を守る子夜になり、長安より遥か彼方の戦地、玉門関に居る夫への思いを詠む。季節は秋。

布を打つのは夫に着せる冬着の準備作業。

視覚の長安の月、聴覚の布を打つ音、触覚の秋の風。これみな夫婦の心を揺さぶる、玉門関の情です。

一時も早く無事帰国して欲しい。妻の切ない切ない心情です。

 

《PN・帰鳥》