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大風のうた

2014.08.08

大風起兮雲飛揚

威加海内兮帰故郷

安得猛士兮守四方

 

紀元前二五六年生まれの劉邦(りゅうほう)の「大風(たいふう)のうた」。

 

■読みと解釈

大風起兮雲飛揚

大風は起こりて雲は飛揚(ひよう)す

[大風が起こり(そのために)雲は吹っ飛んだ]

 

威加海内兮帰故郷

威は海内(かいだい)に加わり故郷に帰る

[わが威力は天下を覆い故郷に帰って来た]

 

安得猛士兮守四方

安(いず)くにか猛士(もうし)を得て四方を守らん

[どこかで猛士を手に入れ天下を守り続けたい]

 

 

■注目点

劉邦の心境に注目。

劉邦のこの詩は、敵軍の項羽(こうう)を破り天下を取って十二年目、錦を着て故郷に帰った時の作。栄華の絶頂にある時の作です。

大風を劉邦自身に、雲を項羽に譬え、自分の威力の凄さを自負する。威力に押され、項羽は吹っ飛んだ。以来十二年経過。劉邦は錦を着て故郷に帰り、村人と杯を交わし、十日ばかり過ごしたが、頭をよぎる思いがあった。

それは猛士を手に入れたい思い。猛士は強く勇ましい男。見るに今、手元には猛士がいない。猛士なくしては、天下を守り続けることはできない。天下を守り続けるために、猛士を手に入れたい。

栄華の絶頂にある劉邦。だが不安がしのび寄る。栄華と不安。これが劉邦の心境。人々に共通する心境では。

劉邦のこの詩は四句ではなく三句。句の字数も不揃い。不安定なこの形式は、不安定な心境の現れかもしれない。

 

《PN・帰鳥》