山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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夜雨に北に寄す

2013.09.27

君問帰期未有期

巴山夜雨漲秋池

何当共剪西窗燭

卻話巴山夜雨時

 

八一三年生まれの李商隠(りしょういん)の「夜雨に北に寄す」。雨降る夜に北にいる妻に送る。

 

■読みと解釈

君問帰期未有期

君は帰期(きき)を問うも未(いま)だ期有らず

[お前は帰る時を尋ねるが帰る時はまだ決まっていない]

 

巴山夜雨漲秋池

巴山(はざん)の夜雨は秋の池に漲(みなぎ)る

[巴山に降る夜の雨は秋の池にあふれ出る]

 

何当共剪西窗燭

何(いつ)か当(まさ)に共に西の窗(まど)の燭(ともしび)を剪(き)り

[いつ二人で西の部屋の窓辺の灯火を切りそろえて灯し続け]

 

卻話巴山夜雨時

卻(かえ)って巴山の夜雨の時を話すべき

[ふり返っていま巴山に降る夜の雨の時を話すことができるのか]

 

 

■注目点

注目は詩作りの巧みさ。作者は巴山(四川省)に、妻は北にいる。

一句目は妻の問いに、夫の作者が答える作り。妻の意図は早く会いたい。夫は未定と答える。

二句目は夫の現状報告。場所は巴山。季節は秋。時は夜。天候は大雨。現状に心情を重ねる作り。

三句目は夫の告白。早く帰り、一緒に朝まで灯火を灯したい。実現を期待する作り。

四句目も夫の告白。現状を語りたい。現状を過去の事とする作り。

語句の巧みさは、期及び巴山夜雨の反復。二つの反復は、詩作りの土台となっている。

 

《PN・帰鳥》