山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

夜の直

2015.01.30

金炉香尽漏声残

翦翦軽風陣陣寒

春色悩人眠不得

月移花影上欄干

 

一〇二一年生まれの王安石(おうあんせき)「夜の直(とのい)」。宿直。

 

■読みと解釈

金炉香尽漏声残

金炉(きんろ)は香は尽き漏声(ろうせい)は残(そこな)い

[豪華な香炉は香はなく水時計の音は消え]

 

翦翦軽風陣陣寒

翦翦(せんせん)たる軽風に陣陣(じんじん)たる寒さ

[うす寒いそよ風に間をおく寒さ]

 

春色悩人眠不得

春色は人を悩ませ眠り得ず

[春の気配は私を悩ませ眠ることができず]

 

月移花影上欄干

月は移り花影(かえい)は欄干(らんかん)に上れり

[朧月は動き花の影が欄干まで上ってきた]

 

 

■注目点

宿直の辛く不安な心情に注目。

宿直は睡眠不足。一睡もできぬ宿直の辛さ。この宿直は宮中の宿直のよう。

部屋には豪華な香炉。香炉の香も、水時計の音もしない。ひっそりした宿直の部屋。

寒々とした部屋。うすら寒いそよ風。間をおく寒さ。部屋の寒さは、作者王安石の心の寒さ、不安では。宿直者王安石の心中は寒い。

こうした部屋の様子は、王安石を苦しめ迷わせ、睡眠不足にさせる。時が経ち朧月も動き、桃や李の花影が欄干まで上がってきた。夜明けも近い。

当時の宿直は単独。主な任務は夜警。広い広い宮中。身も心も辛く不安で、疲れる宿直。一睡もできず睡眠不足。

 

《PN・帰鳥》