山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

夜の月

2011.03.18

更深月色半人家
北斗闌干南斗斜
今夜偏知春気暖
虫声新透緑窓紗

 

劉方平(りゅうほうへい)の「夜の月」。劉方平は唐の詩人だが、生没年は不詳。

 

■読みと解釈
更深月色半人家
更深(こうしん)の月色は人家に半(なか)ばなり
[夜中の月の光が人家の半分を照らしている]

 

北斗闌干南斗斜
北斗は闌干(らんかん)として南斗は斜めなり
[北斗星はきらめき輝き南斗星は斜めに傾いている]

 

今夜偏知春気暖
今夜偏(ひと)えに春気の暖かなるを知る
[今夜意外にも春の空気の暖かさがわかった]

 

虫声新透緑窓紗
虫の声は新たに透(とお)る緑の窓紗(そうさ)
[虫の声が初めて緑の窓にかけた薄絹を透けて聞こえる]

 

 

■注目点
今夜はどんな夜なのかに注目。
今夜は月の光が人家を半分照らしている。北斗星は輝き、南斗星は傾いている。月と星で今夜の景を説明する。夜が次第に深まりゆき、人々はそのうち床に就く時間になる。今夜はこんな景色ではないでしょうか。
こんな今夜。作者は意外にも春の空気の暖かさに気づきます。「意外にも」とは、虫の音色だったのです。窓にかけた薄いカーテンを透けて、耳に入ったのです。この春初めて聞いた虫の音色。びっくりもし、うれしくもあったのでしょう。
今夜聞いた虫の音色。啓蟄(けいちつ)の時節到来です。啓蟄は陽暦の三月五日ごろ。

 

《PN・帰鳥》