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夜に趙縦を送る

2017.03.24

趙氏連城璧

由来天下伝

送君還旧府

明月満前川

 

六五〇年生まれの楊炯(ようけい)の「夜に趙縦(ちょうしょう)を送る」。趙縦の生没年、経歴、作者楊炯との関係など不明。

 

■読みと解釈

趙氏連城璧

趙氏(ちょうし)連城(れんじょう)の璧(たま)

[趙の恵文王(けいぶんおう)の十五の城に匹敵するのは]

 

由来天下伝

由来(ゆらい)天下に伝えり

[恵文王以来今日まで天下に伝わっている]

 

送君還旧府

君が旧府(きゅうふ)に還(かえ)るを送れば

[趙縦君が元いた役所に戻るのを見送ると]

 

明月満前川

明月は前川(ぜんせん)に満てり

[明るい月が目の前の川に満ち溢れている]

 

 

■注目点

趙縦を送る楊炯の思いに注目。

趙縦が元いた役所に戻るのを楊炯が送る詩だが、送るにあたり、戦国時代の趙と秦との秘話を持ち出す。秦の王は趙の恵文王が楚の璧を手に入れたのを知り、十五の城と交換しようと誘うが、恵文王の使者は誘いに乗らず、無事に持ち帰る。その璧は以来、天下に伝わっている。

楊炯がここに秘話を持ち出すのは、国の趙と送る趙縦の趙とを重ねるためである。

趙の璧が今なお天下に伝わっているように、趙縦が元いた役所に戻れば、名声は今なお伝わっているに相違ない。満月が目の前の川に満ち溢れているではないか。

 

《PN・帰鳥》