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夜に趙縦を送る

2018.06.15

趙氏連城璧

由来天下伝

送君還旧府

明月満前川

 

六五〇年生まれの楊炯(ようけい)の「夜に趙縦(ちょうしょう)を送る」。趙縦の経歴等は不明。

 

■読みと解釈

趙氏連城璧

趙氏(ちょうし)連城(れんじょう)の璧(たま)

[趙国恵文王の十五の城に匹敵する璧は]

 

由来天下伝

由来(ゆらい)天下に伝えり

[恵文王以来今日まで天下に伝わっている]

 

送君還旧府

君が旧府(きゅうふ)に還(かえ)るを送れば

[趙縦君が元いた役所に戻るのを見送ると]

 

明月満前川

明月は前川(ぜんせん)に満てり

[曇りなき明るい月が目前の川に溢れている]

 

 

■注目点

題材の巧みさに注目。

この詩の鍵は1句目。趙氏連城の璧とは、戦国時代の趙の恵文王が手に入れた璧を、秦の昭王が十五城と交換したいと画策する。趙では昭王の画策を恐れ、配下に璧を秦へ持たせるが、配下は璧を無事趙へ持ち帰る。

作者の楊炯はこの事件以来、趙氏連城の璧は唐の今日まで伝えていると言うのだが、言いたいことは戦国趙氏の趙と本詩の趙縦とを重ねていることである。趙氏の璧が国全体に伝わっているように、趙縦の名声も伝わっていることが言いたい。

楊炯が趙縦を見送るのは夜。光り輝く月光はまるで璧のようである。これまた月光と璧とを重ね、趙縦を讃える。題材に巧みさがある。

 

《PN・帰鳥》