山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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夜に受降城に上り笛を聞く

2017.07.21

回楽峯前沙似雪

受降城下月如霜

不知何処吹蘆笛

一夜征人尽望郷

 

七四八年生まれの李益の「夜に受降城(じゅこうじょう)に上り笛を聞く」。受降城は今の内蒙古自治区にあり、異国の降伏者収容所。

 

■読みと解釈

回楽峯前沙似雪

回楽峯(かいらくほう)の前は沙(すな)は雪に似て

[回楽峯の辺りの砂漠は雪のように白く]

 

受降城下月如霜

受降城の下(もと)は月は霜の如(ごと)し

[受降城の辺りは月光が霜のように冷たい]

 

不知何処吹蘆笛

何(いず)れの処(ところ)か蘆(あし)の笛を吹くかを知らず

[何処で蘆の笛を吹いているのか判らぬ]

 

一夜征人尽望郷

一夜 征人(せいじん)は尽(ことごと)く郷を望む

[兵士はひと晩中皆な古里に思いを馳せる]

 

 

■注目点

笛を聞く李益の思いに注目。

李益は今、受降城に上っている。受降城は異国と戦う最前線にあり、異国の降伏者を収容する所。

受降城近くの回楽峯の辺りは雪のような真っ白な砂漠。砂漠は戦場。

受降城の辺りは霜のように冷たい月光。

こんな情景の中。何処で吹くのか蘆笛の音。悲しい音色。

悲しい音色を聞く李益。聞きながら思うのは古里。夜が明けるまで、家族友人を思い、心を痛め涙を流す。

自然の回楽峯。人工の受降城。白さの視覚。冷たさの触覚。蘆笛の聴覚。これらの技法を駆使し、李益の悲しみを盛り上げる。

 

《PN・帰鳥》