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夏日の田園の雑興

2012.07.27

黄塵行客汗如漿
少住儂家嗽井香
借与門前磐石坐
柳陰亭午正風涼

 

作者は一一二六年生まれの范成大(はんせいだい)。詩の題は「夏日の田園の雑興(ざっきょう)」(夏の田舎風景あれこれ)で、十二首中の一首。

 

■読みと解釈
黄塵行客汗如漿
黄塵(こうじん)の行客(こうかく)は汗は漿(しょう)の如(ごと)し
[黄色い塵にまみれそこ行く旅人はその汗はまるで米のとぎ汁のようだ]

 

少住儂家嗽井香
少しく儂(わ)が家に住(とど)まりて井の香(かんば)しきに嗽(くちすす)げ
[ちょっとわが家に寄って香ばしい井戸水で口を漱ぐがいい]

 

借与門前磐石坐
門前の磐石(ばんせき)を借し与えて坐せしむ
[家の前の平らで大きな石を貸してやり座らせた]

 

柳陰亭午正風涼
柳陰(りゅういん)亭午(ていご)正(まさ)に風は涼し
[真昼なのに柳の木陰ではまさに涼しい風が吹いている]

 

 

■注目点
詩の題の「田園」に注目すると、この詩のどこに田舎らしさがあるのでしょうか。
黄塵は埃だらけの田舎道。汗の譬えの漿は米のとぎ汁。井香は汲みたての井戸水。門前の磐石は田舎人のたまり場。儂はわしと言う意味の方言。
詩全体、いかにも田舎。素朴な田舎。親切な田舎人。そんな感じを受けませんか。それにしても田舎の真昼は暑いのです。

 

《PN・帰鳥》