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夏意

2012.06.29

別院深深夏席清
石榴開遍透簾明
樹陰満地日当午
夢覚流鶯時一声

 

この詩の作者は一〇〇八年生まれの蘇舜欽(そしゅんきん)。詩の題は「夏意」(夏の気配)です。作者は何に夏の気配を感じるのでしょうか。

 

■読みと解釈
別院深深夏席清
別院(べついん)は深深として夏席(かせき)は清し
[別邸は奥深く静まりかえり夏の寝ゴザは清々しい]

 

石榴開遍透簾明
石榴(せきりゅう)は開くこと遍(あまね)く簾(すだれ)を透(とお)して明らかなり
[ザクロの花は満開で簾を透かしてはっきりわかる]

 

樹陰満地日当午
樹陰(じゅいん)は地に満ち日は午(ご)に当たる
[樹木は地面の至る所に陰を作り日はまさに真っ昼間(午は正午のこと)]

 

夢覚流鶯時一声
夢覚めて流鶯(りゅうおう)時に一声
[昼寝の夢が覚めるや枝をわたる鶯が一声鳴いた]

 

 

■注目点
詩題の夏の気配として使われる物を列挙すると、深深たる別院(世俗とは離れた山中にある別荘)。夏の席(夏ゴザは安眠用)。満開の石榴(ザクロの花は深紅色)。石榴が透けて見える簾(簾は竹製の日よけ)。地面いっぱいの樹の陰(大木の木陰)。昼寝の夢の後(昼寝は暑さ対策)。枝をわたる鶯の一声(清涼感)など。
これらは夏の暑さを避ける物。扇風機も冷房もない昔の人。自然の物に頼ったのです。

 

《PN・帰鳥》