山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

夏の歌

2017.11.24

鬱蒸仲暑月

長嘯北湖辺

芙蓉如結葉

拠艶未成蓮

 

作者不明の「夏の歌」。製作は唐以前。

 

■読みと解釈

鬱蒸仲暑月

鬱蒸(うつじょう)たり仲暑(ちゅうしょ)の月に

[蒸し暑い真夏の月に]

 

長嘯北湖辺

北の湖の辺りに長嘯(ちょうしょう)す

[北の湖辺りで口をすぼめ詩を吟じる]

 

芙蓉如結葉

芙蓉(ふよう)は葉を結ぶが如(ごと)くなるも

[芙蓉は葉を結ぶようだが]

 

拠艶未成蓮

艶(つや)に拠(よ)り未だ蓮(れん)を成さず

[艶を当てにし蓮を完成していない]

 

 

■注目点

前二句と後二句との関連に注目。

後二句の芙蓉も蓮もハス。芙蓉は蓮の別名だが、使い分けている。

芙蓉は葉を結びかけているが、艶を当てにしてまだ蓮に成り切っていない。蓮の音はレン。レンは同音の憐・恋に通じ、男と女の情愛を象徴するのが蓮。

後二句は男と女の情愛はただ今未完成であることを言う。

前二句の蒸し暑い真夏と涼しげな北の湖。この景は未完成の情愛とどう関連する。

想像を逞しくすると、蒸し暑い真夏は男の置かれている状況では。男は女に愛の告白ができず、ムンムンしている。涼しげな北の湖は女の置かれている状況では。女は男の愛の告白を待ち、サワサワしている。

情愛が完成しない男の未練、女の未練を詠む。主題はここか。

 

《PN・帰鳥》