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夏の日、悟空上人の寺院に書きつける

2010.09.03

三伏閉門披一衲
兼無松竹蔭房廊
安禅不必須山水
滅得心中火自涼

 

作者は九〇四年に死んだ杜荀鶴(とじゅんかく)。詩の題は「夏の日、悟空上人(ごくうしょうにん)の寺院に書きつける」。悟空上人は四〇年間、インドで修行した僧。

 

■読みと解釈

三伏閉門披一衲
三伏(さんぷく)門を閉じて一衲(いちのう)を披(き)る
[暑い夏の盛りに門を閉じて袈裟を着ている  ※「三伏」はおよそ夏至以降、立秋過ぎの間]

 

兼無松竹蔭房廊
兼ねて松竹の房廊(ぼうろう)を蔭(おお)う無し
[加えて部屋や廊下を覆い隠す松や竹もない]

 

安禅不必須山水
安禅(あんぜん)は必ずしも山水を須(もち)いず
[心身を安らかにし真理を悟る僧は山や水を必要としない]

 

滅得心中火自涼
心中を滅得(めっとく)すれば火も自(おのずか)ら涼し
[心の中を滅ぼしてしまえば火でさえ自然に涼しくなる]

 

 

■注目点
夏の盛り、真理を悟る心構えに注目。
部屋と廊下は僧の修行の場。修行の場を涼しくする、松や竹の木陰はない。暑い暑い中、門を閉じ、袈裟を着て、修行に励むのです。
心身を安らかにし、真理を悟る僧。その僧は悟空であろうが、悟空は山や水には涼しさを求めず、心の中を滅ぼして無にする。心の中が無になれば、熱い熱い火でさえ涼しくできるのです。
最後の句は一般には「心頭滅却すれば火も亦(ま)た涼し」で知られています。

 

《PN・帰鳥》