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夏の夜 涼を追う

2016.08.27

夜熱依然午熱同
開門小立月明中
竹深樹密蟲鳴処
時有微涼不是風

 

これは「夏の夜 涼を追う」という詩です。作者は楊万里(ようばんり)。一一二七年生まれです。

 

■ 読みと解釈
夜熱依然午熱同
夜熱(やねつ)は依然として午熱に同じ
[夜の暑さは昼間の暑さとまったく変わらない]

 

開門小立月明中
門を開きて小(すこ)しく立つ月明の中
[門を開けてちょっと月明かりの中に立ってみた]

 

竹深樹密蟲鳴処
竹は深く樹は密にして蟲(むし)の鳴く処(ところ)
[竹がむらがり生え樹が生い茂り虫が鳴いている所には]

 

時有微涼不是風
時に微涼(びりょう)有るも是(こ)れ風ならず
[かすかな涼しさはあるがそれは風ではない]

 

 

■ 注目点
昼間の暑さと変わらぬ夜の暑さ。これに耐えられぬ作者は涼を求めます。どこに涼を求めたのでしょうか。
門を出て月明かりに立ちます。ちょっと立っていたら、竹や樹が密生している所が目に入り、近づきます。月の光も風も通さぬ密生地。その中で虫が鳴いているのです。
瞬間、かすかな涼しさを覚えます。その涼しさは風によるものではありません。なのにかすかな涼しさを覚えたのです。
かすかな涼しさを覚えたのは虫の鳴き声。大合唱ではなく小合唱。だからこそではないでしょうか。ここに涼を求めたのでしょう。

 

《PN・帰鳥》