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塞下の曲

2016.12.23

塞虜乗秋下

天兵出漢家

将軍分虎竹

戦士臥竜沙

辺月随弓影

胡霜払剣花

玉関殊未入

少婦莫長嗟

 

七〇一年生まれの李白の「塞下(さいか)の曲」。塞下は国境辺り。

 

■読みと解釈

塞虜乗秋下

塞虜(さいりょ)は秋に乗じて下り

[国境の外敵は秋になると攻撃をしかけ]

 

天兵出漢家

天兵は漢家を出ず

[天命を受けた兵士が国を出て行く]

 

将軍分虎竹

将軍は虎竹(こちく)を分ち

[将軍は二つに分けた割り符の半分を持ち]

 

戦士臥竜沙

戦士は竜沙(りゅうさ)に臥す

[戦士は砂漠で寝起きする]

 

辺月随弓影

辺月は弓影(きゅうえい)に随い

[国境の月は弓のような形をし]

 

胡霜払剣花

胡霜(こそう)は剣花(けんか)を払う

[外敵の霜は花のように剣に光り輝く]

 

玉関殊未入

玉関(ぎょくかん)には殊(こと)に未(いま)だ入らず

[玉門関にはなかなか戻って来られない]

 

少婦莫長嗟

少婦よ長嗟(ちょうさ)すること莫(な)かれ

[新妻よ、何時までもため息をつくな]

 

 

■注目点

国境守備兵の動きに注目。

馬肥ゆる秋。騎馬民族の外敵は、秋に攻撃をしかける。攻撃に漢民族国家も対応する。

天子から割り符を拝受した将軍は、兵士を徴集し、国境へ移動。

最前線で外敵と戦うのは兵士。玉門関を出た砂漠が戦場。戦場の砂漠に身を臥し、将軍の命令一下、弓と剣での白兵戦。殺すか殺されるか。それが戦い。今日死ぬか。明日死ぬか。誰にも分からぬ。

李白は最後の二句に言う「玉門関にはなかなか戻って来られない。新妻よ、何時までもため息をつくな」。

玉門関は国境の関所。この関所を出た限り、この関所に戻ることは容易ではない。関所に戻れぬとは、家族の元へ戻れぬということ。新妻よ、夫が帰還する。期待するな。ため息をつけば、永遠につくことになる。ため息をつくのは止めろ。

李白の言はきつい。新妻に言うのではなく、戦いをする皇帝に、きつく言うべきではないか。

 

《PN・帰鳥》