山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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城東の荘に宴す

2018.04.13

一年始有一年春

百歳曾無百歳人

能向花前幾回酔

十千沽酒莫辞貧

 

生没年不詳の唐の崔敏童(さいびんどう)の「城東(じょうとう)の荘に宴す」。街の東側の別荘で宴会する。別荘の主は崔敏童の兄。

 

■読みと解釈

一年始有一年春

一年始まれば一年の春有り

[一年が始まると一年の春が来る]

 

百歳曾無百歳人

百歳は曾(かつ)て百歳の人無し

[百歳は今まで百歳の人はいない]

 

能向花前幾回酔

能(よ)く花の前に向かい幾回(いくかい)か酔わん

[花の前で何度も酔うことはできぬ]

 

十千沽酒莫辞貧

十千もて酒を沽(か)うに貧(ひん)を辞する莫(な)かれ

[一万金で酒を買うのに貧乏を理由にするな]

 

 

■注目点

飲酒の理由に注目。

一年経てば、新しい一年が始まる。また一年経てば、また新しい一年が始まる。

一方、百歳経てば、そこで百は終わる。百歳以上、続くことはない。人間長く長く生きて百歳。何時死ぬか知れぬ命。春の花を前にして、楽しい酒を飲む。金を惜しまず、酒を飲む。

自然の運行は永久不変だが、人間の運行は無常迅速。無常迅速なる人間、人生ならば、まっ盛りの春の花を謳歌しつつ、貧乏だからと言わず、大金をはたいて高級な酒を買い求め、人生を楽しもうではないか。兄の別荘での酒宴。酒で短い人生を楽しむ。その思いを詠むのが本詩だろう。

 

《PN・帰鳥》