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垓下の歌

2014.08.29

力抜山兮気蓋世

時不利兮騅不逝

騅不逝兮可奈何

虞兮虞兮奈若何

 

紀元前二三二年生まれの項羽(こうう)の「垓下(がいか)の歌」。垓下は地名。

 

■読みと解釈

力抜山兮気蓋世

力は山を抜き気は世を蓋(おお)うも

[腕力は不動の山を引き抜き意気は世の中を覆い隠せるが]

 

時不利兮騅不逝

時は利あらず 騅(すい)は逝(ゆ)かず

[時勢は味方せず(愛馬の)騅も前へ進まぬ]

 

騅不逝兮可奈何

騅の逝かず 奈何(いかん)すべき

[(愛馬の)騅が前へ進まぬのはどうすることもできぬ]

 

虞兮虞兮奈若何

虞(ぐ)や虞や 若(なんじ)を奈何せん

[(愛姫の)虞美人よ虞美人よ お前をどうすることもできぬ]

 

 

■注目点

項羽の心境に注目。

詩の題の垓下は将軍の項羽が敵の劉邦(りゅうほう)に追われ、立て籠もった所。四面楚歌の状態で作った詩。

四面楚歌のわしだが、腕力も意気も衰えてはいない。だが時勢に見放された。時勢に見放されたが故に、愛馬も愛姫も、わしの腕力や意気を持ってしても、どうしてやることもできぬ。自信と絶望。

項羽の心境は、絶望の状態でも自信を捨てぬ。この心境は項羽に限らず、人々に共通する心境なのでは。

後に垓下を脱した項羽は「天がわしを滅ぼすのであり、わしの戦い方が悪かったのではない」と言い、責任はわしにはない。天にある。そう言います。天は人の力や智を超えた存在。その天に責任転嫁したのです。

 

《PN・帰鳥》