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団扇の歌

2015.04.17

白団扇

憔悴非昔容

羞与郎相見

願得随郎手

因風従方便

 

四百年頃の女性詩人謝芳姿(しゃほうし)の「団扇(だんせん)の歌」。団扇はうちわ。

 

■読みと解釈

白団扇

白き団扇よ

[白いうちわよ]

 

憔悴非昔容

憔悴(しょうすい)して昔容(せきよう)に非(あら)ず

[やつれ果てて昔の姿ではなく]

 

羞与郎相見

羞(は)ずらくは郎と相(あ)い見(あ)わんことを

[貴男にお会いするのが面映い]

 

願得随郎手

願わくは郎の手に随(したが)い

[貴男のお手で扇がれるままに]

 

因風従方便

風に因(よ)りて方便(ほうべん)に従うを得んことを

[風を頼りに貴男の愛にすがりたい]

 

 

■注目点

手法の巧みさに注目。

詩中の貴男とは王珉(おうびん)。熱愛し合っていた二人。王珉への情愛をうちわに託して詠んだのが本詩。

巧みさの一つ。うちわを詠む。うちわは風を起こし、風は遠くまで届き、肌に触れる。

巧みさの一つ。憔悴、昔容、羞の語で心身の苦悶を訴える。

巧みさの一つ。随う、従うの語で、我意を捨て、王珉に全てを委ねる思いを告白する。

男が女を思う詩は少なくないが、女が男を思う詩。昔々の中国だが、結構あるのです。心中に秘めながら、秘め事を文字にする。勇気いる事かもしれない。

 

《PN・帰鳥》