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台城

2018.05.11

江雨霏霏江草斉

六朝如夢鳥空啼

無情最是台城柳

依旧煙籠十里堤

 

八三六年生まれの韋荘(いそう)の「台城(だいじょう)」。

 

■読みと解釈

江雨霏霏江草斉

江雨は霏霏(ひひ)として江草は斉(ひと)しく

[長江には雨がしとしと降り草は一様に生えており]

 

六朝如夢鳥空啼

六朝(りくちょう)は夢の如(ごと)く鳥は空(むな)しく啼(な)く

[六朝は夢のように去り鳥たちは人知れず啼いている]

 

無情最是台城柳

無情なるは最も是(こ)れ台城の柳にして

[無情なのはとりわけ台城の柳であり]

 

依旧煙籠十里堤

旧に依(よ)りて煙(かすみ)は十里の堤に籠(こ)めり

[昔のままに延々と続く土手に霞んで見える]

 

 

■注目点

作者の思いに注目。

台城は六朝時代(一八二~五八九)の首都建康(今の南京)にあった宮殿。作者の韋荘は歴史ある台城(宮殿)を訪ねる。

台城は長江沿いにある、六つの王朝の宮殿。あれから何百年。今は春雨が降り、鳥は空しく啼き、春草は一様に生え、六つの王朝は夢のように消え去り、春雨も春草も春鳥もみな無情。とりわけ無情なのは柳。柳は何百年前同様、延々と立ち込める春霞の中に霞んで見える。台城(宮殿)の興亡、栄枯盛衰、栄華の夢にも気づかず、意のままなる柳。有なる柳になれと、無情なる柳を責める。これ韋荘の切なる思い。

 

《PN・帰鳥》