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古里に回り思いつくままに作る

2012.11.02

少小離郷老大回
郷音難改鬢毛衰
児童相見不相識
笑問客従何処来

 

六五九年生まれの賀知章(がちしょう)の「古里に回(かえ)り思いつくままに作る」。

 

■読みと解釈
少小離郷老大回
少小(しょうしょう)にして郷を離れ老大にして回(かえ)る
[年若くして古里を離れ年老いて帰って来た]

 

郷音難改鬢毛衰
郷音は改まること難(かた)きも鬢毛(びんもう)は衰う
[古里のなまりは変わらぬが髪の毛は衰えた]

 

児童相見不相識
児童は相(あ)い見るも相い識(し)らず
[子どもらは私を見てもわかってはくれない]

 

笑問客従何処来
笑って問う客は何(いず)れの処(ところ)より来たるかと
[笑いながら「お客さんどこから来たの」と問うてきた]

 

 

■注目点
作者と児童との関係に注目。作者も児童も古里は同じ。違うのは作者は何十年ぶりかに古里に帰って来たが、児童は生まれてこの方古里暮らし。
何十年経っても古里のなまりは変わらない。そのなまりが児童との関係をつなぐ唯一の手段だが、それもままならぬ。「お客さんどこから来たの」と問われる始末。
「お客さん」とはよそ者扱いです。よそに住んでいる人です。笑いながら、何人もの児童が問います。作者はどんな気持ちで聞いたでしょうか?
隔世の感? 古里の変貌? 限りない郷愁? 老人の寂寥?
千三百年も前の詩ですが、今なおこんな事は身近にあるのではないでしょうか。

 

《PN・帰鳥》