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古別離

2017.04.14

欲別牽郎服

郎今到何処

不恨帰来遅

莫向臨邛去

 

七五一年生まれの孟郊(もうこう)の「古別離」。昔の別れ。

 

■読みと解釈

欲別牽郎服

別れんと欲して郎の服を牽(ひ)く

[別れる際に夫の着物を引っ張る]

 

郎今到何処

郎は今しも何(いず)れの処(ところ)にか到(いた)らんや

[貴男は今から何処へお行きなの]

 

不恨帰来遅

帰来(きらい)の遅きを恨(うら)まず

[お帰りの遅いのは心配しません]

 

莫向臨邛去

臨邛(りんこう)に向きて去る莫(な)かれ

[臨邛へだけはお行きにならないで]

 

 

■注目点

夫を見送る妻の心情に注目。

夫の着物を引っ張るのは妻。二人は別れようとしている。別れは離婚ではない。旅立ちのようである。

夫は何処へ旅立つのか。行く先不明。「貴男、どこへお行きなさるの。教えて!」と語りかける妻。

夫の帰宅は心配しない。必ず帰って来る。「貴男のお帰りが遅くなる。悩んでいないわ!」と語りかける妻。

妻には唯一心配がある。「臨邛へだけは行かないで!」と語りかける妻。臨邛は今の四川省にある街。昔のこと、この地で旅の男が未亡人に恋し、夜中に駆け落ちした所。「臨邛へは行かないで」。妻の唯一の心配。

夫婦は新婚では。心配なのは夫の浮気より、生き別れではないか。一緒にいたいのが新婚。

 

《PN・帰鳥》