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古別離

2018.04.27

晴煙漠漠柳毿毿

不那離情酒半酣

更把玉鞭雲外指

断腸春色在江南

 

八三六年生まれの韋荘(いそう)の「古別離(こべつり)」。古別離とは過去の古い別離の詩に習う意。

 

■読みと解釈

晴煙漠漠柳毿毿

晴煙(せいえん)は漠漠(ばくばく)とし柳は毿毿(さんさん)たり

[晴れた日の霞はうす暗くたなびき柳の枝は細長く垂れている]

 

不那離情酒半酣

離情を那(いか)んともせざるに酒は半ば酣(たけなわ)なり

[別離の感情はどうすることもできぬのに酒はまだ中途でまっ盛り]

 

更把玉鞭雲外指

更(あら)めて玉鞭(ぎょくべん)を把(と)りて雲外(うんがい)を指せば

[代わって玉で飾った鞭を手にし雲の彼方を指し示すと]

 

断腸春色在江南

断腸(だんちょう)の春色は江南(こうなん)に在り

[腸がちぎれるほどの悲しい春の景色は長江の南にある]

 

 

■注目点

別離の情に注目。

誰が誰と別れるのか。誰がは作者韋荘。誰とは玉で飾った鞭を手にし、馬に乗っている人。それは役人か。役人の行く先は長江の南。長江の南へ別れ行く役人を見送るのがこの詩。

起句の題材は晴煙と柳。別離の場所の景。承句の題材は酒。これに離情という感情語が加わる。別離の酒席の景。転句の題材は玉鞭と雲外。別離後の行き先の景。結句の題材は春色と江南。これに断腸という感情語が加わる。別離後の行き先の景。別離の情は悲しい。

 

《PN・帰鳥》