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古い絶句

2017.10.27

日暮秋雲陰

江水清且深

何用通音信

蓮花瑇瑁簪

 

作者不明の「古い絶句」。四句からなる古い詩。製作は唐以前。

 

■読みと解釈

日暮秋雲陰

日は暮れ秋の雲は陰(くも)り

[日は暮れ秋の雲は曇り]

 

江水清且深

江の水は清く且(か)つ深し

[長江の水は清らかで深い]

 

何用通音信

何を用(も)って音信を通ずるや

[何を用いて便りを届けるのか]

 

蓮花瑇瑁簪

蓮花(れんか)と瑇瑁(たいまい)の簪(かんざし)なり

[届いたのは蓮の花の簪と瑇瑁の簪]

 

 

■注目点

初めの二句と後の二句との繋がりに注目。

初めの二句は自然描写で人間は現れない。後の二句は自然描写ではなく人間が現れる。

後の二句に現れる人間は、一人ではなく二人。どんな関係の二人。男と女では。夫婦かも。夫婦は離れて暮らしている。便りを出すのは夫。便りを受けるのは妻。首を長くして夫からの便りを待つ妻。

届いた便りは簪。蓮の花で飾った簪と海亀の鼈甲で飾った簪。蓮の音は「れん」。「れん」は同音の憐・恋に通じ、心ひかれる人を意識させる。受け取った妻は歓喜と感謝。眼には涙!

初め二句の自然描写は夫婦の置かれている状況描写ではあるまいか。一句目は暗くてもの寂しい。二句目は清らかで深い。どちらが夫で、どちらが妻だろう。どうぞ想像を!

 

《PN・帰鳥》