山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

古い絶句

2015.02.06

南山一桂樹

上有双鴛鴦

千年長交頸

歓愛不相忘

 

無名氏「古い絶句」。作者は無名氏。固有名詞は不明。四句からなる古い詩。製作時期不明。

 

■読みと解釈

南山一桂樹

南の山の一の桂樹(けいじゅ)

[南の方角の山には一本の桂の樹があり]

 

上有双鴛鴦

上に双(ふた)つの鴛鴦(えんおう)有り

[その天辺にはつがいの鴛と鴦がいる]

 

千年長交頸

千年長(とこ)しえに頸(くび)を交(まじ)え

[つがいは千年も永久に首を交えて愛し合い]

 

歓愛不相忘

歓愛(かんあい)は相(あ)い忘れず

[愛し合う心は互いに忘れることはない]

 

 

■注目点

注目は夫婦愛。一本の桂の樹。桂は月の中にある、常緑の香木。幻想的。その樹の天辺につがいのオシドリ。鴛と鴦。夫婦愛に長じた鳥。鴛は宛然(えんぜん)と泳ぐさまに、鴦は中央で泳ぐさまに因んでの命名とか。

この夫婦鳥は千年も万年も、永久に首を交えている。首を交える。それは体と体とが触れ合うこと。愛の交換をすること。夫婦鳥はうれしさ、いつくしみを永久不変、忘れることはない。

鳥でさえ夫婦は愛の交換をする。況んや人間は言うまでもない。仲睦まじい夫婦鳥を借りて、人間の夫婦愛を語る。

夫婦愛を動物や植物を借りて語る。素朴だが、素朴であるだけに、素直に受け入れることができるのでは。

 

《PN・帰鳥》