山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

お問い合わせはこちら

友人を送る

2016.08.19

青山横北郭

白水遶東城

此地一為別

孤蓬万里征

浮雲遊子意

落日故人情

揮手自茲去

蕭蕭班馬鳴

 

七〇一年生まれの李白(りはく)の「友人を送る」。

 

■読みと解釈

青山横北郭

青山は北郭(ほくかく)に横たわり

[青々した山は街の北側に横たわり]

 

白水遶東城

白水は東城を遶(めぐ)る

[清らかな川は街の東を巡り流れる]

 

此地一為別

此の地一(ひと)たび別れを為(な)せば

[この地で一旦別れたならば]

 

孤蓬万里征

孤蓬(こほう)は万里に征(ゆ)く

[千切れ蓬は万里の彼方へ旅立つ]

 

浮雲遊子意

浮雲は遊子の意

[浮かぶ雲は旅人の心]

 

落日故人情

落日は故人の情

[夕べの日は旧友の情]

 

揮手自茲去

手を揮(ふる)い茲(ここ)より去れば

[手を振ってここから去ってしまうと]

 

蕭蕭班馬鳴

蕭蕭(しょうしょう)として班馬(はんば)も鳴く

[別れ行く馬ももの寂しく嘶く]

 

 

■注目点

巧みな詩作りに注目。

詩は8句。前半4句は景描写。後半4句は情描写。

景描写も情描写も、前2句は対句で、後2句は違う。巧みな詩作り。

景描写の対句。青と白、山と水、横たわると繞る、北と東、郭と城。友人を送るこの景は、山と川に囲まれた街。所は特定し難いが、田舎街ではなさそう。

この地を離れる友人。離れた限り2度とは会えぬ2人。孤蓬は友人。風に吹き千切られ、連れもなく、遠く遠く転がり行く草。千切られ草は元へは戻らぬ。さすらい人に譬える。

情描写の対句。浮と落、雲と日、遊と故、子と人、意と情。友人を送るこの情は、景を情に重ねる。空に漂い浮かぶ雲を旅人友人の心に、西に沈む夕べの日を故人旧友の情に譬える。

友人と故人。互いに手を振り別れる。あるのは涙。涙は2人だけではない。馬の目にも涙。読者の目にも涙。

対句を巧みに使った、友人を送る景と情。

 

《PN・帰鳥》