山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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友を送る

2017.03.17

山中相送罷

日暮掩柴扉

春草明年緑

王孫帰不帰

 

六九九年生まれの王維(おうい)の「友を送る」。

 

■読みと解釈

山中相送罷

山中にて相い送りて罷(や)み

[山の中で君を見送り終え]

 

日暮掩柴扉

日は暮れ柴扉(さいひ)を掩(おお)う

[日は沈みあばら屋をおおい隠す]

 

春草明年緑

春草は明年緑なるも

[春の草は来年も緑になるが]

 

王孫帰不帰

王孫(おうそん)は帰るや帰らざるや

[君は帰って来るのかどうか]

 

 

■注目点

友を送る王維の思いに注目。

友の名や友との関係など一切不明。

王維が友と別れる所は山の中。山の中にある王維の住まいに友が訪ねて来て、何日か過ごし、山を去りどこかへ行くのだろう。その友を送り終えた。

王維の住まいは、柴で造ったあばら屋。そこに住むのは貧乏な世捨て人。日は西に沈み、あばら屋をおおい隠し、見えなくする。見送った後の山の中は静寂。

王維はふと思う。山の中の草は、春になれば緑となる。緑となるのは、今年も来年もずっと。ずっとずっと緑になるが、王孫は来年もずっとずっと、この山の中のあばら屋へ帰って来るのかどうか。

王孫は元々は川に身を投じ死んだ、昔々の屈原(くつげん)だが、ここは友を指す。草が緑となる来年の春、帰って来て欲しい。王維はそう思い友を見送る。

 

《PN・帰鳥》