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厳武の軍城の早き秋に奉和す

2019.05.10

秋風嫋嫋動高旌

玉帳分弓射虜営

已収滴博雲間戍

欲奪蓬婆雪外城

 

七一二年生まれの杜甫(とほ)の「厳武(げんぶ)の軍城(ぐんじょう)の早き秋に奉和(ほうわ)す」。厳武は杜甫の上司。軍城は軍の根拠地。奉和は唱和し奉る。

 

■読みと解釈

秋風嫋嫋動高旌

秋風は嫋嫋(じょうじょう)として高旌(こうせい)を動かし

[秋の風がそよそよと吹き高く掲げた軍旗を揺り動かし]

 

玉帳分弓射虜営

玉帳(ぎょくちょう)は弓を分かちて虜営(りょえい)を射さしむ

[陣営の長たる将軍は兵士に弓を分け与え外敵の陣屋を射させる]

 

已収滴博雲間戍

已(すで)に滴博(てきはく)雲間(うんかん)の戍(じゅ)を収め

[とっくに雲高く聳える滴博嶺の陣屋を奪い返し]

 

欲奪蓬婆雪外城

蓬婆(ほうば)雪外(せつがい)の城を奪わんと欲す

[雪の彼方にある蓬婆山の街中を奪い返そうとしている]

 

 

■注目点

厳武の功績に注目。

この詩は杜甫が厳武の詩に唱和した詩。終始厳武を称賛する。

厳武はこの時、西方の四川省の軍政、行政を司る長官で、杜甫はその部下であった。

厳武は外敵チベット族の吐蕃(とばん)兵七万を破り、街中を鎮圧し、厚遇された。

チベット族は唐王朝初期に統一国家となり、遂には首都長安を攻略する。間もなく退却するが、唐末期まで西域を占領する。この憎き外敵を鎮圧したのが厳武。杜甫は称賛する。

 

《PN・帰鳥》