山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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南の園

2018.11.09

尋章摘句老彫蟲

暁月当簾挂玉弓

不見年年遼海上

文章何処哭秋風

 

七九一年生まれの李賀(りが)の「南の園(にわ)」。

 

■読みと解釈

尋章摘句老彫蟲

章を尋ね句を摘(つ)み彫蟲(ちょうちゅう)に老ゆ

[捜し求め選び分けて章句を作り苦労に苦労を重ね老いてゆく]

 

暁月当簾挂玉弓

暁月(ぎょうげつ)は簾(すだれ)に当たり玉弓(ぎょくきゅう)を挂(か)けり

[明け方の月は簾に当たり玉製の武器の弓をひっ掛けている]

 

臥看満天雲不動

見ずや 年年遼海(りょうかい)の上(ほとり)にて

[見るがいい 来る年も来る年も戦場となる遼海辺りでは]

 

文章何処哭秋風

文章は何(いず)れの処(ところ)に秋風を哭(こく)するかを

[秋の風を嘆き悲しむ文章はどこでも作ることはできない]

 

 

■注目点

言いたいことに注目。

李賀は所有の南の庭で何を考えたのか。それは自分の文章観。思いつきの言葉ではなく、練りに練った、選び抜いた言葉しか使わない。冒頭にずばり成語「尋章摘句」「彫蟲」を使う。練りに練った、選び抜いた言葉。「老ゆ」とは年老いる意ではなく、言葉選びの老練になる意ではないか。

この文章観は戦い続く所には使うことはできぬと言う。戦いのない所ならば使うことができると言う。この詩は戦いを止めろ。戦争否定を言うために、自分の文章観を披瀝したのでは。言いたいことはここにあるのでは。

 

《PN・帰鳥》