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十五夜 月を望む

2010.09.30

中庭地白樹棲鴉
冷露無声湿桂花
今夜月明人尽望
不知秋思在誰家

 

詩の題は「十五夜 月を望む」。十五夜は中秋の名月。作者は七七六年生まれの王建(おうけん)。

 

■読みと解釈

中庭地白樹棲鴉
中庭は地白く樹に鴉(からす)棲(す)み
[庭いっぱい地面は白く樹には鴉が休んでおり]

 

冷露無声湿桂花
冷露は声無く桂花(けいか)を湿(うるお)す
[冷たい露が音もなく降り木犀(もくせい)の花を湿している]

 

今夜月明人尽望
今夜は月明らかにして人は尽(ことごと)く望まんも
[今夜は月は明るく人はみな眺めているだろうが]

 

不知秋思在誰家
知らず秋思誰(た)が家に在るかを
[秋の思いを感じているのはいったいどこの誰やら]

 

 

■注目点
中秋の名月を眺め、秋の思いを感じる人。それは誰。ここに注目。
地が白いのは月の光が白いせい。樹に休む鴉は黒。白と黒の対比。
音もなく降る冷たい露。その露が桂の花に溜まる。露と花の配合。月には大きな桂が生えているとか。桂は月の縁語。桂は木犀だそうです。
中秋の名月。天下の全員が眺めている。一人ひとりどんな思いで眺めているのだろう。作者はふとそう思います。そして、いったい誰が秋の寂しい思いを感じているのだろう。それはほかならぬ私。そう思っているのではないでしょうか。

 

《PN・帰鳥》