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十二月十五夜

2012.01.13

沈沈更鼓急
漸漸人声絶
吹灯窓更明
月照一天雪

 

一七一六年生まれの袁枚(えんばい)の「十二月十五夜」。十五夜は満月。

 

■読みと解釈
沈沈更鼓急
沈沈(ちんちん)として更鼓(こうこ)は急に
[夜がふけ時を知らせる太鼓がせわしく響き]

 

漸漸人声絶
漸漸(ぜんぜん)として人声は絶(た)ゆ
[次第に人の話し声が聞こえなくなった]

 

吹灯窓更明
灯(ともしび)を吹けば窓は更(さら)に明るく
[明かりを吹き消すと窓が一段と明るくなり]

 

月照一天雪
月は照らす一天(いってん)の雪を
[月が空一杯の雪を照らしている]

 

 

■注目点
題によると、季節は冬十二月。晩冬。厳寒です。しかし十五夜。満月です。厳寒の満月。その描写に注目。
更鼓は夜中に時を知らせるために打つ太鼓。およそ二時間ごとに太鼓を打つ。同じ高さで打っても、夜が更けると周囲は静寂。高く響きます。
夜が更けると人の声もまばら。みな眠りにつくのです。部屋の内も外も寒く、ひっそり。
袁枚は部屋の灯を消します。ところが何と、窓が灯以上に明るいではないか。
不思議に思った袁枚。窓を開け放つ。満天の空に降る雪。それを月が照らしていたのです。何とも言えぬ風景。
月。それは十五夜の満月。厳寒の十二月の満月です。寒いが暖かい。この詩の巧みさはここにあるのでは。

 

《PN・帰鳥》