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北庭に赴かんとして隴を度りて家を思う

2019.04.26

西向輪台万里余

也知郷信日応疎

隴山鸚鵡能言語

為報家人数寄書

 

 七一五年生まれの岑参(しんじん)の「北庭(ほくてい)に赴(おもむ)かんとして隴(ろう)を度(わた)りて家を思う」。北庭は外敵匈奴のいる西域の地。隴は隴山。西域に向かう際の山脈。

 

読みと解釈

西向輪台万里余

 西のかた輪台(りんだい)に向かうに万里余なれば

[西の方角の輪台に向かうのに一万里余りあるので]

 

也知郷信日応疎

 也(ま)た郷信(きょうしん)は日に日に応(まさ)に疎(そ)なるべきを知る

[やはり古里からの便りは日に日に疎遠になると承知している]

 

隴山鸚鵡能言語

 隴山(ろうざん)の鸚鵡(おうむ)は能(よ)く言語すれば

[隴山の鸚鵡は言葉を話すことができるので]

 

為報家人数寄書

 為(ため)に家人に報ぜよ数(しば)しば書を寄せよと

[私のためにしばしば便りを届けるよう家族に告げてくれ]

 

 

注目点

 題材の配置に注目。

 一句目の題材輪台は岑参の目的地。長安の西方万余里。地の果て。外敵匈奴の居所。鎮圧の為に行く岑参。

 二句目の郷信は家族からの便り。地の果てに届く便り。難の難。だが欲しい。

 三句目の鸚鵡は人語を話す。家族ではない鳥にすがる。

 四句目の家人は親や妻や子の家族。家族が便りをよこすよう、鸚鵡に命ずる。鸚鵡は家族に告げてくれるか。

 四つの題材を駆使し、心中の苛立ち、いらいらを吐き出す岑参。

 

《PN・帰鳥》