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劉景文に贈る

2018.01.12

荷尽已無擎雨蓋

菊残猶有傲霜枝

一年好景君須記

最是橙黄橘緑時

 

一〇三六年生まれの蘇軾(そしょく)の「劉景文(りゅうけいぶん)に贈る」。劉景文は蘇軾より三歳年長。

 

■読みと解釈

荷尽已無擎雨蓋

荷(はす)は尽きて已に雨に擎(ささ)ぐる蓋(かさ)無く

[蓮は萎れ枯れ果て雨に立ち向かう傘ももはや無くなり]

 

菊残猶有傲霜枝

菊は残(そこな)わるるも猶(な)お霜に傲(おご)る枝有り

[菊は萎れ衰えたが霜に立ち向かう枝はなお健在である]

 

一年好景君須記

一年の好景は君須(すべか)らく記(しる)すべし

[一年の好き景色は君は是非とも記憶せねばならぬ]

 

最是橙黄橘緑時

最たるは是(こ)れ橙(とう)は黄にして橘(きつ)は緑なる時

[柚子(ゆず)は黄で蜜柑(みかん)は緑の季節が最高の好き景色である]

 

 

■注目点

「好景」の二字に託す思いに注目。

前二句は全滅の蓮と半端な菊。この景は好景ではない。最後の句は橙の黄と橘の緑。この景は好景。三句は好景を記憶せよと言う。

蘇軾は劉景文に全滅の蓮と半端な菊と好景の橙と橘を贈る。全滅で半端な蓮と菊。その季節は晩秋から初冬。好景の黄の橙と緑の橘。その季節は晩秋から早春。

蘇軾は晩秋から早春の好景を忘れてはならぬ。そう依頼し願望する。蘇軾はこの好景にはどんな思いを託すのだろう。

 

《PN・帰鳥》