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劉判官の磧西に赴くを送る

2019.06.21

火山五月行人少

看君馬去疾如鳥

都使行営太白西

角声一動胡天暁

 

 七一五年頃生まれた岑参(しんじん)の「劉判官(りゅうはんがん)の磧西(せきせい)に赴くを送る」。劉は姓。生没年等は不明。判官は地方の属官。磧西は砂漠の西方。

 

読みと解釈

火山五月行人少

 火山(かざん)の五月は行人少(まれ)なるに

[火山の五月は暑くて道行く人は滅多にないのに]

 

看君馬去疾如鳥

 君が馬の去るに疾(はや)きこと鳥の如(ごと)きを看る

[君の乗った馬が行く時はその速さは鳥のようだと見る]

 

都使行営太白西

 都使(とし)の行営(こうえい)は太白(たいはく)の西にして

[君の住む仮設の陣営は金星より西の最果てにあり]

 

角声一動胡天暁

 角声(かくせい)は一たび胡天(こてん)の暁を動かす

[角笛の音が一帯に蛮族の夜明けの空を動かしている]

 

 

注目点

 作者の想像力に注目。

 劉判官の任務先は砂漠の西の果て。出発時期は五月。途中に火山がある。火山は五月とて暑い。暑いのをものともせず、馬に乗り鳥のように、砂漠の西の果てに向かって行く。普通ならばシブシブ動くのに、なぜそんなに急ぐ。いっ時も早く功績を挙げたいのか。着いてみたら、戦地の空に角笛が鳴り響く。古里を思い、後悔しているのではあるまいか。

 作者の岑参は劉判官を見送る席で、見送った後の劉判官の動きを想像し、こんな詩を詠む。

 

《PN・帰鳥》