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剣門の道中にて微雨に遇う

2015.05.15

衣上征塵雑酒痕

遠遊無処不消魂

此身合是詩人未

細雨騎驢入剣門

 

一一二五年生まれの陸游(りくゆう)の「剣門(けんもん)の道中にて微雨に遇(あ)う」。剣門は四川省の山。剣門の名は剣を立てた門に見えるから。

 

■読みと解釈

衣上征塵雑酒痕

衣上の征塵(せいじん)は酒の痕(あと)を雑(まじ)う

[旅の塵で汚れた衣服に酒の臭いが混じっている]

 

遠遊無処不消魂

遠遊は処(ところ)として消魂(しょうこん)せざる無し

[長旅は何処であれもぬけの殻となる]

 

此身合是詩人未

此の身は合(まさ)に是(こ)れ詩人なるべきや未(いな)や

[わが身は詩人なのか詩人でないのか]

 

細雨騎驢入剣門

細雨にして驢(ろ)に騎(の)り剣門に入る

[そぼ降る雨の中驢馬に乗り剣門山にやって来た]

 

 

■注目点

詩作の意図に注目。

剣門山への道は難儀なのに、雨が降り出し、更に難儀な道に。

徒歩ではなく、なぜ驢馬で?

難儀な長旅。衣服は塵ほこり。汚れきっている。気を紛らわす物。それは酒。酒の臭いが衣服に。汚れと臭い。

道はぬかるみ、石はごろごろ、魂が消えそう。もぬけの殻。ようやく到着。

到着した陸游は我に返る。我は詩人?違う? 自問自答する陸游。時に軍司令部の部下として剣門山に長旅したのです。我は詩人、それとも軍人。そう自問自答したのです。

 

《PN・帰鳥》