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初夏即事

2012.06.22

石梁茅屋有彎碕
流水濺濺度両陂
晴日暖風生麦気
緑陰幽草勝花時

 

詩の題は「初夏即事(そくじ)」。即事は目の前の事。作者は一〇二一年生まれの王安石(おうあんせき)。

 

■読みと解釈
石梁茅屋有彎碕
石梁(せきりょう)茅屋(ぼうおく)彎碕(わんき)有り
[石造りの橋と茅ぶきの小屋それに曲がった岸があり]

 

流水濺濺度両陂
流水は濺濺(せんせん)として両陂(りょうひ)を度(わた)る
[川の水は濺濺と流れ左右の土手を越えてゆく]

 

晴日暖風生麦気
晴日(せいじつ)暖風は麦気(ばくき)を生ず
[晴天と暖かい風が麦の生気を育てている]

 

緑陰幽草勝花時
緑陰(りょくいん)幽草(ゆうそう)は花時に勝(まさ)れり
[緑の木陰と奥深い草は花咲く時節よりも勝っている]

 

 

■注目点
初めの二句は場所の説明。後の二句は初夏の説明。
この場所にあるのは石造りの橋、茅ぶきの小屋、曲がった岸。名詞を無造作に三つ並べます。橋の下には水が濺濺と流れ、土手を越え遠くへ遠くへ流れます。濺濺は水の流れる擬声語。
初夏の説明は、麦の生気を育てる晴天と暖かい風。それに花の咲く春より勝る木陰と奥深い草。麦畑は夏の風景。木陰、奥深い草も夏の風景。
この初夏即事は農村の風景のようです。見たままを即座に詠んだのでしょう。

 

《PN・帰鳥》