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冬日の田園の雑興

2011.12.16

榾柮無煙雪夜長
地炉煨酒煖如湯
莫嗔老婦無盤飣
笑指灰中芋栗香

 

一一二六年生まれの范成大(はんせいだい)の「冬日の田園の雑興(ざっきょう)」。冬の日の農村の風景あれこれ。連作の一首。

 

■読みと解釈
榾柮無煙雪夜長
榾柮(ほだ)には煙無く雪の夜は長し
[ほだには煙はなく雪の夜は長い]

 

地炉煨酒煖如湯
地炉(いろり)に酒を煨(ぬく)めれば煖(あたた)かきこと湯の如(ごと)し
[いろりで酒をぬくめると湯のように温かい]

 

莫嗔老婦無盤飣
嗔(いか)ること莫(な)かれ 老婦に盤飣(ばんてい)無きを
[怒ってはならぬ 老妻が皿に酒の肴を盛ってないことを]

 

笑指灰中芋栗香
笑って指(ゆびさ)す 灰の中の芋(いも)と栗の香ばしきを
[(老妻は)笑って指で示す 灰の中の芋と栗が香ばしいことを]

 

 

■注目点
冬の夜の農村。話題は酒のようです。酒のどこが話題になるのか。注目点は二つ。一つは酒の燗。一つは酒の肴。
農村での酒の燗は、灰の中でほだ(木切れ)を燃やすいろりで温める。雪の降る寒い農村の夜。いろりの側には老父が座っている。酒の用意はできた。
酒には肴がいる。肴を用意するのは老妻。皿を見ると肴はない。老父は落胆する。その時、老妻が燗をした灰を指で示す。指の先には香ばしい芋と栗。それが老妻が用意した肴。
雪の降る農村の水入らずの老夫婦。酒と肴。いい風景です。

 

《PN・帰鳥》