山口県のフリーペーパー「地域情報新聞 ほっぷ」WEB版

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内に贈る

2018.09.28

漠漠闇苔新雨地

微微涼露欲秋天

莫対月明思往時

損君顔色減君年

 

七七二年生まれの白居易(はくきょい)の「内(つま)に贈る」。

 

■読みと解釈

漠漠闇苔新雨地

漠漠(ばくばく)たる闇苔(あんたい)は雨地に新たにして

[広く連なる暗闇の苔は雨降る地面に新鮮であり]

 

微微涼露欲秋天

微微(びび)たる涼露(りょうろ)は秋天ならんと欲す

[微かで僅かな清く冷ややかな露は秋空にならんばかりである]

 

莫対月明思往時

月明に対して往時(おうじ)を思うこと莫(な)かれ

[明るい月の光に向き合い昔の事を偲んではならぬ]

 

損君顔色減君年

君が顔色(がんしょく)を損(そこな)い君が年を減らせり

[お前さんの容貌の美しさや寿命を短くしてしまう]

 

 

■注目点

妻への思いに注目。

夫の白居易が妻に贈った詩。のろけんばかりの愛妻家、恋女房。妻は妻で内にいて、夫に誠心誠意尽くしたのであろう。

構成としては起句と承句は自然描写。初秋の描写。題材は闇苔と雨地、涼露と秋天。一方は漠漠、他方は微微。多と少の対比。転句と結句は感情描写。妻に対する夫の思いを端的に描写する。明るい月の光を巧みに織り込み、妻に対する夫の思いを巧みに描写する。

思いに沈む秋を巧みに利用した、女房恋歌である。

本詩以外にも白居易は「内に寄す」「内子に贈る」など、多くの詩を妻に贈っている。

 

《PN・帰鳥》