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元二の安西に使いするを送る

2012.12.21

渭城朝雨浥軽塵
客舎青青柳色新
勧君更尽一杯酒
西出陽関無故人

 

六九九年ごろ生まれの王維(おうい)の「元二(げんじ)の安西(あんせい)に使いするを送る」。元二は人名だが詳細は不明。安西は地名。

 

■読みと解釈
渭城朝雨浥軽塵
渭城(いじょう)の朝雨 軽塵(けいじん)を浥(うるお)す
[渭城の街に朝降る雨は砂ぼこりを濡らし]

 

客舎青青柳色新
客舎(かくしゃ)青青として柳色(りゅうしょく)新たなり
[宿屋も柳の色も雨に洗われすがすがしく鮮やかだ]

 

勧君更尽一杯酒
君に勧(すす)む更に尽くせ一杯の酒
[君に勧めようもう一杯酒を飲み干したまえ]

 

西出陽関無故人
西のかた陽関(ようかん)を出(い)ずれば故人無からん
[西方で陽関を通過したら昔なじみはいないのだから]

 

 

■注目点
元二に対する作者の心づかいに注目。
安西は西方の国境にあり、外敵の侵入を防ぐ軍隊が駐在していた。元二の行き先はその安西。出発地は首都の長安近くの渭城。
作者は王命を帯び地の果てに行く元二を送ります。出発地には雨が降り、柳が芽吹いている。王維は最後の酒を一杯、勧めます。陽関を越えたら、知り合いはいなくなる。だから飲み干すようにと。
元二への最後の心づかいです。元二はどんな思いで飲んだでしょうか。再会はかなわぬかもしれない。精一杯の心づかいだったのでしょうか。

 

《PN・帰鳥》