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僧院

2018.07.13

虎渓間月引相過

帯雪松枝掛薜蘿

無限青山行欲尽

白雲深処老僧多

 

七二七年生まれの釈霊一(しゃくれいいち)の「僧院(そういん)」。僧院は寺院。

 

■読みと解釈

虎渓間月引相過

虎渓(こけい)の間月(かんげつ)は引きて相過ぐ

[虎渓の静かな月に誘われて通り過ぎ]

 

帯雪松枝掛薜蘿

雪を帯(お)ぶる松の枝は薜蘿(へいら)を掛(か)く

[雪を被った松の枝は葛に巻きつかれている]

 

無限青山行欲尽

限り無き青山(せいざん)をば行きて尽(つ)くさんと欲す

[果てしない青々した山を歩き続け極めたい]

 

白雲深処老僧多

白雲の深き処(ところ)は老僧(ろうそう)多し

[白い雲が漂う辺りには老練な僧侶がたくさんいる]

 

 

■注目点

作者の心境に注目。

作者の釈霊一は僧侶。僧侶が寺院を訪ねる。訪ねる寺院は今の江西省廬山(ろざん)の麓にある東林寺(とうりんじ)。浄土宗の開祖慧遠(えおん)設立の寺院。境内には虎渓という谷川がある。

僧侶の釈霊一が虎渓を訪ねたのは冬。冬の月に誘われて虎渓を通り過ぎると、辺り一面の松林には雪また雪。歩き続けると果てなき山。それは廬山。冬だが山は青々し、空には白い雲。青々した山、白い雲を極めると、そこには老練な僧侶の集団。

青と白は世俗の外、あの世。釈霊一は静寂静虚の景情で僧侶としての使命を詠む。

 

《PN・帰鳥》