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九月十日

2010.09.10

去年今夜侍清涼
秋思詩篇独断腸
恩賜御衣今在此
奉持毎日拝余香

 

詩の題は「九月十日」。九月は秋。作者は菅原道真(すがわらのみちざね)。九〇三年死去。

 

■ 読みと解釈
去年今夜侍清涼
去年の今夜清涼(せいりょう)に侍(じ)し
[去年の今夜は清涼殿でお仕えし]

 

秋思詩篇独断腸
秋思の詩篇(しへん)独り断腸(だんちょう)
[(私の)「秋思」の詩だけは悲しみに満ちたものでした]

 

恩賜御衣今在此
恩賜(おんし)の御衣(ぎょい)今此(ここ)に在り
[陛下より賜った御衣は今ここにあり]

 

奉持毎日拝余香
奉持(ほうじ)して毎日余香(よこう)を拝す
[両の手に捧げ持ち毎日陛下の移り香を拝しています]

 

 

■ 注目点
この詩は太宰府(だざいふ)での作。一年前の今夜いた清涼は、陛下の御殿。一年後の今いる所は福岡の大宰府。冤罪により流されたのです。一年間の時の流れに注目。
清涼殿で作った「秋思」の詩。題が題だけに内容は腸が断ちきれるほどの悲しみに満ちたものでした。が、陛下の御意に適い、お召しの御衣を賜ったのです。賜った御衣を流された太宰府の地で、毎日毎日両の手に捧げ持ち、陛下の移り香を拝し、御恩に篤く感謝している。
陛下への限りない謝意を述べたのが、この詩です。

 

《PN・帰鳥》