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九日に別るるを送る

2019.09.20

薊庭蕭瑟故人稀

何処登高且送帰

今日暫同芳菊酒

明朝応作断蓬飛

 

六八八年生まれの王之渙(おうしかん)の「九日に別るるを送る」。九日は九月九日。重陽の節句。

 

■読みと解釈

薊庭蕭瑟故人稀

薊(けい)の庭は蕭瑟(しょうしつ)として故人稀(まれ)なるに

[薊の辺りは秋風が吹いてもの寂しく古なじみも少ないのに]

 

何処登高且送帰

何(いず)れの処(ところ)か高きに登りて且(まさ)に帰るを送らんとす

[何処か小高い丘に登って古里へ帰る君を見送ろう]

 

今日暫同芳菊酒

今日(こんにち)は暫(しばら)く芳(かん)ばしき菊の酒を同(とも)にするも

[今日は僅かの時間芳しい菊の花を浮かべた酒を一緒に飲むが]

 

明朝応作断蓬飛

明朝は応(まさ)に断蓬(だんほう)と作(な)りて飛ぶべし

[明日の朝は君は間違いなく根を断った蓬となり飛んでしまう]

 

 

■注目点

表現に注目。

九月九日、作者は古里の薊(北京市南西)で、旧友と別れるが、旧友の行く先は不明。

二人は小高い丘に登り、菊酒を飲むが、送別詩ゆえ寂しい。特に暫く、断蓬飛ぶ、今日、明朝の表現にある。暫くは僅かな時間。断蓬飛ぶは根無し草が飛ぶ。根無し草を旧友に譬え、旧友が古里へ帰るのを飛ぶと表現する。今日と明朝の短時間。

 

《PN・帰鳥》